新年度がはじまりました~プロフェショナルとは何かを考える~

前回のブログからしばらく間が空いてしまいました。ここしばらく追われていた仕事が一段落したところです。 

4/1から独立3年目に入りました。まだまだ試行錯誤しながらの毎日ですが、この一年間また精進していきたいと思います。 

さて冒頭に「プロフェショナルとは何かを考える」などと大そうな題を掲げましたが、特にこれだと一言で言い切れるものがある訳ではありません。所属している日本技術士会では「技術士プロフェッション宣言」( http://www.engineer.or.jp/c_topics/000/000029.html )

として次のような文言が書かれています。 

われわれ技術士は、国家資格を有するプロフェッションにふさわしい者として、一人ひとりがここに定めた行動原則を守るとともに、社団法人日本技術士会に所属し、互いに協力して資質の保持・向上を図り、自律的な規範に従う。これにより、社会からの信頼を高め、産業の健全な発展ならびに人々の幸せな生活の実現のために、貢献することを宣言する。 

そして「技術士の行動原則」として次のように謳っています。 

  1. 高度な専門技術者にふさわしい知識と能力を持ち、技術進歩に応じてたえずこれを向上させ、自らの技術に対して責任を持つ。
  2. 顧客の業務内容、品質などに関する要求内容について、課せられた守秘義務を順守しつつ、業務に誠実に取り組み、顧客に対して責任を持つ。
  3. 業務履行にあたりそれが社会や環境に与える影響を十分に考慮し、これに適切に対処し、人々の安全、福祉などの公益をそこなうことのないよう、社会に対して責任を持つ。 

これらを今一度読んでみると、昨年の12月2日の夜にテレビでニュースを見ていた時の事を思い出します。2012年12月2日に中央自動車道笹子トンネルの天井板が崩落し、車3台が巻き込まれて9人が死亡した事故がありましたが、ちょうど3年経った日に行われた追悼式の様子が映し出されていました。 

お姉さんが事故で亡くなられた妹さんが追悼の辞を述べている映像が流れていましたが、途中で後ろを振り返り、居並ぶ中日本高速道路関係者に向かって発した言葉に私はしばらく動けなくなりました。 

その時の言葉を正確に確認したくて映像を探していたところ、次の映像がありましたので、そこから下に書き起こしました。 

https://youtu.be/88lkwyK5eVM より)
「あなたたちは本当にわかっていますか。あなたたちここにいる人たちが一人ひとり本当のプロの意識が無かったがゆえに、ここにいる9人は死にました・・・」 

この「プロの意識がなかった・・・」という言葉に強く心を動かされ、しばらくテレビの前で動けなくなったのを思い出します。プロでないがゆえに人の命を奪う事があるのだ、という事を私たちに鋭く問いかけているのだと思います。どんな技術も100%安全はあり得ませんが、プロとして限りなく安全を追及するのは当然であり、上に記載した行動原則にある通り「人々の安全、福祉などの公益をそこなうことのないよう、社会に対して責任を持つ」という事に、技術士はもちろん世の中の技術に関わる人たちは今一度よく考えなくてはいけないと思います。 

これを書いているときに、熊本県で大地震が起きました。被害がどれくらいなのかこれから少しずつ判明すると思いますが、5年前の福島第一原発の事故を思い出しました。大地震に対する備えがプロとしての仕事を全うしていたのだろうかと考えてしまいます。 

上の追悼式での映像で、妹さんは次の様に続けています。 

「自分たちでちゃんと危険を考えて、何千人も社員がいるんだから、誰か一人がこの点検方法はおかしい、天井板が危ないって言ってさえくれたら、お姉ちゃんたちは死なずに済みました・・・・」 

最近様々なところで技術的なデータ偽装の問題が報道されています。実際に関わっていた技術者は、プロとしての仕事を全うしていたのだろうか。また技術者としての倫理についてどう考えていたのだろうか。多くの事を考えさせられます。 

また技術に限らず、企業内の不祥事についての報道があるたびに思うのは、これはおかしいと思う人はいなかったのか、思っていても言えない風土だったのか。上記の妹さんの言葉は、すべての仕事に通ずる重要なことではないでしょうか。 

少なくとも技術士と名乗る私たちは、技術のプロとして上記「行動原則」に則り仕事をしていきたいと、新年度が始まったところで気持ちを新たにしたところです。 

Boys, be professional !

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