寺島文庫塾 第5回北海道研究会

2016年1月14日の18:30より、寺島実郎氏が主宰する寺島文庫(東京都千代田区九段下)1階の「Caféみねるばの森」にて開催され、参加してきました。 

2014年6月に第1回が開催され、私は同年9月の第2回から続けて参加しています。この会を知ったいきさつは最後に書くことにします。 

今回は寺島氏が直々に講演されるということで、大変楽しみにしていました。事前の案内にあった講演タイトルは「創造的観光立国論~戦略的な北海道観光を考える」ということで、第4回研究会ではIR(Integrated Resort:統合型リゾート)に関する講演があり、その流れでの講演内容になるのかなと想像していました。 

ところが冒頭から寺島氏が育った炭鉱町(九州および北海道)の話から始まり、日本の炭鉱開発が九州から北海道へと移り、戦後日本の経済状況やロシアとの関わりを交えながら、「北海道とは何だ?」という問いかけから話は非常に広がりを見せました。今日は観光の話が主題だったよなと思っていると、歴史的背景をしっかりと捉えた上で今後の北海道観光事業への話と移っていき、それまでの話は当然捉えておかねばならない文脈として講演の流れを作る様にすっかりと引き込まれていました。 

寺島氏の知識・知見の広さは、いつもテレビ・雑誌等で見聞きしている通りの様子でした。この日一番興味を引いたのは、明治時代の北海道に縁の深い「クラーク博士」「新渡戸稲造」「内村鑑三」についての話でした。中でもクラーク博士に関しては、彼が言い残したといわれている「Boys, be ambitious」についての話から(当HPの冒頭に書いている通り、諸説あることは知っていました)、クラークとは本当に偉大な人間なのかという疑問からの人物像の解説に至っては、クラーク博士があまりにも神格化されてしまっていることへの少々の苦言?もあり、大変興味深い話を聞くことができました。 

クラーク博士については、学生時代に読んだ「北大歴史散歩」(岩沢健蔵著・北海道大学図書刊行会、1986年)の中に少し記述があり、ある程度予備知識があったのでこの日の寺島氏の話にはそれほど驚くことは無かったのですが、全く知らなかった人にとっては少し刺激の強い話だったかもしれません。 

そうこうしているうちに、いつの間にか北海道観光に関わる話に入って行き、「サービス産業の高度化」というキーワードを軸に、今後の北海道観光についての展望を話されていました。 

私のような技術屋にとっては、観光業とは全く関わりのない仕事をしているなと思っていたのですが、寺島氏が様々な角度からの観光業の分析の中で「インダストリアルツーリズム(産業観光)」の事にも言及され、今後の観光業はたくさんの異分野の協業で発展していくのだなという事を認識した次第です。 

苫東地域にメガソーラー発電所ができたことに触れた流れで、今後のインダストリアルツーリズムについて寺島氏が話されていたのを聞き、北海道でも再生可能エネルギーをベースにした先端の水素エネルギー産業が発展していくと、海外からの視察も増えることが期待され、インダストリアルツーリズムに技術屋が貢献できるかもとふと思いました。 

北海道での水素エネルギー産業の動向についてはずっと様子を見てきましたが、福岡を中心とした九州での動きと比べると、完全に出遅れているなというのが私の率直な意見です。東京オリンピックに向けての東京都や、神奈川県の私が開発アドバイザーとして関わっているスマートエネルギー課など、関東圏は水素エネルギー産業に力が入ってきています。これに対し、ここ数年少しずつですが北海道での水素エネルギー関連の報道も増えてはきていますが、もっと産官学の共同で盛り上げていくべきではと思います。そこに私も微力ながら役立てることがないかと思っているところです。 

この研究会に参加してから、関東圏で仕事をしている北海道出身の方達とたくさん知り合うことができました。独立開業してからはいろいろな会合に参加しているのですが、企業勤めの延長では決して知り合えないような方達と知り合い、知らない分野の話を聞くことができるのは自分にとって大変勉強になっています。これが独立してよかったなと思う事の一つでしょうか。 

寺島氏の蔵書を保管している「寺島文庫」ですが、いつでも見学できるそうなので、一度ゆっくりと見てみたいと思います。また、1回のカフェには寺島氏が個人的な趣味で集めた物がいろいろと飾ってあります。寺島氏の違った一面が見えるようで大変興味深い場所です。ご関心ある方は一度訪れてみてはどうでしょうか。最近では「週刊金曜日」の会合が時々ここで開かれている様で、創刊号からの読者である自分には「寺島文庫」が非常に身近に感じられてきました。 

さて、この「北海道研究会」を知ったきっかけですが、北海道の実家から送られてきた自家製野菜を包んでいる新聞紙(もちろん道新です!)を広げて読んでいると、たまたま1回目の研究会開催の記事が出ていたのです。これを見てなんか面白そうだなと思い、2回目から参加する様になりました。それが無かったならば、この研究会があることを今もきっと知らないでいたことでしょう。なんとも面白いものですね。

最後に、この研究会を運営されているスタッフの方々には感謝したいと思います。次回もまた楽しみにしています。

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